参加者が減り始めると、私は引き止める方法を考えていました。
声をかける、企画を増やす、貢献してくれた人を目立たせる。 どれも、残ってもらうための手です。 このとき私は、全員が残っている状態を成功だと思っていました。
出ていった人のほうが受け取っていた#
学生団体の代表を退いたあと、外から議論を見る機会がありました。
私がいた頃より、話が主体的に進んでいました。 私が抜けたことで空いた場所を、別の人が埋めていました。
同じことは、参加者にも起きていました。 文章を書きたくて入って、書けるようになって出ていった人がいます。 その人にとって、その場は機能しています。 私はそれを、離脱として数えていました。
コミュニティは、入学と卒業が自由な学校に近い形をしています。 受け取るものを受け取った人が出ていくのは、場が壊れた結果ではありません。
選択肢を先に見せておく#
いまは、出口を三つに分けて先に示しています。
- 休む:席を残したまま、一定期間は反応しない
- 役割を外れる:参加は続けて、担当だけ返す
- 退会する:完全に抜ける
分けておくと、負担を感じた人がいきなり退会を選ばずに済みます。 休むという選択がない場では、疲れた人が取れる手が退会だけになります。
示しておく効果は、運営の側にもありました。 出口が用意されている場では、人が減ったときに引き止めから考えなくなります。
方向を変えるときに残る人へ#
方向転換のときは、出口の扱いが特に効きます。
軸を変える告知だけを出すと、以前の約束で入った人は、居場所がないまま残るか、黙って抜けるかになります。 理由を伝えて、残る人と新しい約束を交わす場を持つと、抜ける人は納得して抜けられます。
私はこれをやらずに、Webメディアの方向を記事数とPVへ寄せました。 抜けていった人が何を思ったかは、いまも聞けていません。
譲ることを設計に入れる#
出口は、参加者だけのものではありませんでした。
立ち上げた人が最後まで代表である必要はありません。 考えを受け取った人が、形を変えて続けることもあります。
私が学生団体で用意していなかったのは、自分の出口でした。 辞めると決めてから引き継ぎを考えたので、渡せたのは役割の名前だけでした。 何のためにその役割があるのかは、私の頭の中にしか残っていませんでした。
始める前に書き出す項目に「交代、縮小、終了のときに誰へ何を伝えるか」を入れているのは、このためです。 畳み方を決めておくことは、畳むための準備ではなく、続けるための条件でした。