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AIで業務アプリを作る前に、まず今のAIへ仕事を頼んでみる

·1844 文字·4 分
mota
著者
mota
AI開発、個人開発、ベトナムでの仕事と暮らしについて書いています。

知人から、ある業界向けのマスタースケジュール自動生成アプリについて相談を受けました。

その業界では、プロジェクトの予定をExcelやPowerPointで管理しています。 作成に時間がかかり、担当者によって精度も違います。 そこで、いくつかの条件を入力すれば工程表ができる専用アプリを試作したそうです。

課題も利用者も見えています。 ならば、業務知識をすべてアプリへ入れ、使いやすい画面を作れば完成するように思えます。

ただ、話を聞きながら、ここで一度止まったほうがよい気がしました。 生成AIが表形式の案を短時間で作れるようになった今、価値が残る場所は「表を作ること」とは限らないからです。

先に完成品ではなく仕事を再現する
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専用アプリを作る前に、実際の案件情報を匿名化して生成AIへ渡し、同じ仕事をさせてみます。

たとえば、次の情報を入力します。

  • プロジェクトの開始日と完了日
  • 必要な工程
  • 各工程にかかる期間
  • 前の工程が終わらないと始められない作業
  • 顧客が判断する期限
  • 起こりやすい遅延と、そのときの対応

生成された工程表を見て、実務経験者が修正します。 この修正箇所が、アプリへ入れるべき業務知識の候補になります。

最初から頭の中の知識をすべて書き出す必要はありません。 実際の出力に対して「この条件なら順番が逆」「この工程には余裕を三日入れる」と直したほうが、判断基準と例外を具体的に取り出せます。

業務知識は巨大な説明文ではなく、次の形に分けると扱いやすくなります。

  • 原則:通常はどの順番で進めるか
  • 条件:案件の規模や種類で何が変わるか
  • 例外:原則どおりに進められないのはいつか
  • 確認:AIの出力を人がどこで点検するか

知識を完全に移すのではなく、仕事を試して、間違いから一つずつルールを増やします。 私なら、この順番で進めます。

作成より更新のほうが難しい
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ガントチャートは、見た目だけなら比較的作りやすいです。 横に時間を置き、工程を帯で並べれば、それらしい画面になります。

難しいのは、その後です。

一つの工程が遅れたとき、後続の予定をどう動かすのでしょうか。 変更前の計画は残すのでしょうか。 誰が変更し、誰が承認したのでしょうか。 Excelへ出力した後とWeb上のデータは、どちらを正とするのでしょうか。

このような処理には、データベース、変更履歴、権限、共有方法の設計が必要になります。 ここまで来ると、見た目だけの問題ではありません。

そして、現場の困りごとが「工程表を作れない」ではなく、「変更した予定を顧客と合意できない」なら、必要なのは高機能な作図画面ではないかもしれません。 変更理由、影響を受ける工程、顧客の確認期限を一緒に共有できる仕組みのほうが役立ちます。

ここで、私が見ていた課題も変わりました。

「マスタースケジュールを自動生成したい」から、「予定変更による認識のずれを減らしたい」へ。

Webアプリまでの四段階
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検証は、小さい順に進められます。

  1. チャットで試す

    実際の条件を生成AIへ渡し、工程表を作らせます。どこまで任せられ、何を人が直すかを記録します。

  2. 入力形式を固定する

    毎回同じ質問をするプロンプトやカスタムAIを用意し、誰が使っても必要な情報を集められるようにします。

  3. 簡単な専用画面を付ける

    入力フォーム、生成ボタン、表の修正、Excel出力など、繰り返し使う操作だけを実装します。

  4. Webアプリにする

    複数人での共有、権限、履歴、顧客承認、他システムとの連携が必要になった段階で、データベースを持つアプリへ進みます。

最初から4を選ぶと、画面とデータ保存を作るだけで時間を使い、課題が正しかったかを確かめにくくなります。 1から始めれば、生成結果が役に立たない場合も、プロンプトと入力項目を直すだけで試し直せます。

小さなツールに残る価値
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生成AIが表を作れるなら、専用ツールは不要になるのでしょうか。

私は、そうとも限らないと思います。 現場の利用者が毎回長い指示を書かなくてもよく、必要な確認を飛ばさず、決まった形式で顧客へ共有できるなら、その手間をなくすこと自体に価値があります。

ただし、その価値は「AIよりきれいな工程表を作れること」ではありません。 業務に合った入力順、判断基準、確認工程、共有方法を一つの流れにまとめるところにあります。

専用アプリを作る前に、まず今のAIへ仕事を頼んでみます。 うまくいかなかった箇所から業務知識を拾い、うまくいった後に残った面倒を確かめると、作るべきソフトウェアの輪郭が少しずつ見えてきます。

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