
営業インターンで表彰され、山形チームの統括を任された。 そのときの私は、結果を出せた理由をかなり単純に理解していた。 数字を追い、必要な行動を増やせばいい。 自分ができた方法なら、他の人にも渡せるはずだと思っていた。
三人のメンバーが離れたとき、失ったのは人数だけではなかった。 成果を出すために急かすほど、相手が何に困り、何を望んでいたのかを聞かなくなっていた。 方法の問題だと思っていたものは、関わり方の問題だった。
成功した手順は、相手の事情を消してしまう#
自分にとって有効だった手順を、相手にとっても正しい手順だと思い込む。 成果が出た直後ほど、この間違いは起こりやすい。
私は数字を追う方法を伝えるつもりだった。 けれど実際には、相手が置かれた状況や、何から手を付ければよいか分からない状態を確かめず、行動量だけを求めていた。 結果を出した経験は、他者を理解した証明にはならない。
組織の価値観についても同じだった。 私は自分の期待を、組織の期待だと思っていた。 意見を強く出すこと自体ではなく、反対の理由を聞く前に結論を急いだことが、周囲の負担になった。
技能を増やしても残る不安#
その後、ホイアンで日本語を教え、帰国後は動画編集やWebサイト制作を学んだ。 対価を受け取れる技能が増えれば、自信も増えると思っていた。
しかし、就職活動で自分自身を評価される場面になると、怖さは残った。 技能を増やすことと、自分の未熟さを人に見せられることは別の課題だった。 一人なら隠せることも、チームでは言葉にしなければ仕事が止まる。
最初に確認する三つのこと#
いまチームで何かを進めるときは、手順を渡す前に次の三つを確認するようにしている。
- 何を達成したいのか:運営側の目標ではなく、その人が参加した理由を聞く。
- どこで止まっているのか:能力の不足と決めつけず、時間、情報、役割、心理的な負担を分けて見る。
- 誰が決めるのか:曖昧な期待を置かず、相談先と判断する人を決める。
この確認をしても、すれ違いがなくなるわけではない。 それでも、結果だけを急いでいた頃より、何を直せばよいかを一緒に探せるようになった。
先頭に立つ人が、いつも答えを持つ必要はない。 分からないことを認め、相手の状況を聞き、次の一歩を一緒に決める。 三人が離れた失敗は消えないが、その後のチームで同じ関わり方を繰り返さないための基準にはなっている。

