本業をきちんとやりながら、個人開発もしたい。 学びも発信も、できれば続けたい。
こういう時期は、空いている時間だけを見るとすぐに行き詰まる。 平日の夜は短いし、睡眠を削れば翌日の仕事が崩れる。 私も、仕事の外側に新しい時間を足す計画から始めて、何度も失敗した。
変わったのは、本業と個人の活動が一部で重なっていると認めてからだった。 仕事のやり方を良くできれば、仕事の質だけでなく、学びと検証の時間も増える。 時間を奪い合う二つの活動ではなく、同じ土台を育てる活動として扱えるようになる。
生活時間を削らない#
忙しいときほど、睡眠や食事、運動を削る案が魅力的に見える。 しかし、削った時間は集中力の低下や判断の粗さとして、すぐ仕事に戻ってくる。
私の場合は、通勤中に耳で情報を集めることはできても、夜に重い作業を長く続けるのは難しかった。 この制約を認めると、毎晩二時間の作業を前提にした計画は最初から外せる。
先に守る時間を決める。 その残りを根性で埋めるのではなく、日中の仕事から余白を作る。
改善の順番を間違えない#
余白を作るために、私は次の順で仕事を見直すようにしている。
- 繰り返す通常業務を、抜け漏れなく短くする。
- 顧客へのヒアリングや提案の準備を、次回にも使える形で残す。
- 情報収集の入口を絞り、読むだけで終わらないようにする。
- 調べたことを、社内や顧客に渡せる小さな成果物へ変える。
- そこで空いた時間を、まだ答えのない検証へ戻す。
五番だけを急ぐと、既存の仕事が圧迫される。 一方で、一番から四番を改善すると、毎週少しずつ同じ仕事の摩擦が減る。 個人の研究や制作の時間は、その副産物として生まれる。
道具は思想の代わりにならない#
生成AIや自動化は、この循環を速くする道具になる。 会議の記録を整理し、情報の候補を集め、過去の提案を探す作業には使える。
ただし、何を確認し、どんな提案を出し、誰にとっての価値を優先するかまでは決めてくれない。 道具を増やす前に、自分の仕事で繰り返し判断していることを言葉にしておく必要がある。
便利な出力をそのまま採用するだけでは、仕事の速度は上がっても、自分の仕事にはならない。 自分の判断を道具に渡し、返ってきた結果をまた現場で確かめる。 その往復があって初めて、改善は次の仕事にも持ち運べる。
余白は、先に作った価値のあとに来る#
やりたいことが多い人に必要なのは、予定表をさらに埋めることではない。 毎週必ず使う仕事の一部を、少しだけ良くすることだ。
仕事の質を上げた結果として生まれた余白なら、本業を壊さずに研究や制作へ回せる。 夜に残った一時間も、焦って取り返す時間ではなくなる。 その一時間で何を試すかを考えられる状態のほうが、長く続く。
