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音声メモからナレッジ記事を作る:考える・整えるを分ける執筆フロー

·1436 文字·3 分
mota
著者
mota
AI開発、個人開発、ベトナムでの仕事と暮らしについて書いています。

書きたいことはあるのに、記事の一行目を前にして止まることがある。

考えること、順序を決めること、読みやすい文章に直すことを、同時にやろうとするからだ。

私は、この三つを分けるために、まず音声メモへ話すようにしている。 ここで紹介するのは、思いつきを大量生産する方法ではない。 自分が何を試し、どこで考えを変えたかを、あとで検証できる記事にするための下ごしらえである。

1. 記事の問いだけを決めてから話す
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録音の前に、答えを出さず問いを一文で書く。

たとえば、「この作業で止まったのはなぜか」「次に同じ状況なら何を先に確認するか」といった問いでよい。 問いがないまま話すと、文字起こしは長くなっても、記事に残す判断ができない。

録音中は、結論を急がない。 起きたこと、試したこと、うまくいかなかったこと、迷った理由を順に口に出す。 言い直しや脱線も、この段階では残してよい。

ただし、運転中の録音のように安全を損なう行為はしない。 立ち止まれる場所や、注意を必要としない時間を選ぶ。

2. 文字起こしを、記事の原稿だと思わない
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音声を文字にすると、考えの勢いは残る。 その代わり、同じ話が繰り返され、主語が抜け、話題が飛ぶ。

文字起こしは完成原稿ではなく、経験の採取記録である。 私は次の四つに印を付けてから、初めて構成を考える。

  • 実際に起きた事実
  • そのときに置かれていた条件
  • 自分がした判断と、その理由
  • 次回に変えること

この区別がないと、AIは読みやすく要約できても、実際には起きていない一般論まで補ってしまいやすい。

3. AIには編集の下ごしらえを任せる
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AIに渡す役割は、文字起こしの整文ではない。 重複をまとめ、話題の候補を分け、事実と意見が混ざった箇所を見つけることだ。

たとえば、次のように依頼する。

この文字起こしから、事実・判断・未検証の仮説を分けてください。 各項目は、元の発言にない情報を補わずに箇条書きにしてください。

返ってきた整理を見ながら、記事で答える問いを一つに絞る。 二つ以上の問いが残ったら、記事を分けるか、今回は公開しない。

AIが得意なのは、散らばった材料を並べることだ。 何を言い切るか、どの失敗を残すか、誰に役立つ話なのかは書き手が決める。

4. 成果ではなく、判断が変わった地点を書く
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完成した成果だけを書くと、読者は手順をなぞれば同じ結果になるように感じる。 しかし、実際には時間、経験、人との関係、失敗を許容できる回数が違う。

私は記事にするとき、成功した方法より先に、どの条件で判断を変えたかを書くようにしている。

「作業が遅かった」では足りない。 「関係者が次に何を決めればよいかを示せず、資料を作り直した」のように、判断が変わった理由を置く。 読者は自分の条件と照らし、使える部分だけを選べる。

過程を残すことは、読者へのサービスだけではない。 自分が数か月後に同じ問題へ戻ったとき、当時の前提を思い出すための記録にもなる。

5. 公開前に、元の問いへ戻る
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公開前には、最初に書いた問いと記事の結論を並べる。

問いに答えていなければ、文章が整っていても公開しない。 逆に、答えが一つの経験にとどまるなら、その範囲を明記する。

音声メモは、書く前の抵抗を下げる道具にすぎない。 価値になるのは、話した量ではなく、経験から何を確かめ、次にどう試すかが残ることだ。

まず話す。 次に、事実と判断を分ける。 最後に、自分が責任を持てる結論だけを書き直す。

この順番にすると、考えることと整えることを混ぜずに、試行錯誤を記事へ変えられる。

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