
noteの書き手向け分析ツール note booster の試作品が動き始めたころ、似た領域のサービスが公開されると知りました。 相手の発信規模も開発資金も私より大きく見えました。 同じものを作っても、公開した瞬間に比較されて終わるのではないかと思いました。
ただ、作ることをやめる前に、何が重なり、何が違うのかを確かめることにしました。 そこで見えてきたのは、競合の機能表より先に、利用者、支払う理由、使い続ける場面を分けて考える必要でした。
競合ではなく利用者の困りごとから戻る#
似たサービスが現れると、機能数や公開日だけを比べたくなります。 私も最初は、先に出すこと自体が目的になりかけました。
しかし、私が話を聞いていたのは、noteを毎日伸ばしたい人というより、書いたあとに数字を少し振り返り、無理なく続けたい書き手でした。 その人たちが困っていたのは、分析機能が一つ足りないことではありません。 数字を見ても次に何をすればよいか分からず、書く気持ちまで止まってしまうことでした。
競合が同じ「分析」を扱っていても、誰のどの不安を減らすかまで同じとは限りません。 個人開発で最初に比べるべきなのは、画面の多さではなく、利用者が作業を止める場面だと思います。
価格は競合への対抗策にしない#
公開前に、何人かの書き手へ「毎月払うとしたら、何に対してなら納得できるか」を聞きました。 返ってきたのは、細かな分析指標より、読み返すきっかけや続ける理由がほしいという声でした。
そのため価格は、競合より安く見せるためではなく、その習慣に毎月戻れる金額かどうかで決めました。 高いサービスがあることは、低価格にすれば勝てる根拠にはなりません。 利用者が得る変化と、運営を続けられるコストの両方を説明できることが必要です。
価格を決める前に、まず「この人は来月もどの画面を開くだろうか」と考えるほうが、比較に振り回されにくくなりました。
公開前に小さな証拠を集める#
競合がいるときほど、大きな機能を作り足して差を出そうとしがちです。 ただ、私が先に集めるべきだったのは、機能の数ではなく、使われ方の証拠でした。
- 誰が使うか:自分と近い困りごとを持つ人を、肩書きではなく日々の行動で捉える。
- どこで戻るか:初回だけ試すのではなく、翌週も開く理由を観察する。
- 何を手放せるか:他のサービスにある機能を増やすより、利用者が迷わずに済む手順を減らす。
公開が早かったこと自体より、待機してくれた書き手から「この数字なら続けられそう」と受け取れたことが、その後の改善の基準になりました。
個人開発の題材は、すでに競合がいるから捨てるものではありません。 利用者の行動を見直すと、同じ市場でも別の負担が残っていることがあります。 題材を探す段階では、個人開発の題材を、身近な課題から選ぶための観察 も参照してください。




