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『それ、正しいのに通らない』と感じた君へ──新卒1年目の処方箋

·1988 文字·4 分
mota
著者
mota
AI開発、個人開発、ベトナムでの仕事と暮らしについて書いています。
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はじめに──正論が煙のように消える瞬間
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「言っていることは正しいのに、なぜか通らない」。 就活も終わり、希望とともにスタートしたはずの社会人生活や大学のゼミ・サークルでも、こんなもどかしさにぶつかる瞬間がある。 最近、インターンの学生と話していても「いや、それ正論だわ」とうなずきながら、同時に“通らない”壁にぶつかる姿を目の当たりにした。 本稿では、僕自身の皿洗いバイトや現在のPM・AI担当としての経験を交えつつ、抽象論と具体例を往復しながら「どうすれば“正しい”を“通る”に変えられるのか」を考えてみたい。

1. まず動く──10分でいいから手を動かす
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案件のキックオフ直後、決めごと山積み・不安だらけで頭がパンク寸前になった。 そんなとき僕が毎回自分に課すルールは「とにかく10分、何かを具体的に形にする」ことだ。 資料の骨子を荒くでも書き出す。 コードの雛形を一行でも作る。 頭の中の抽象は、手を動かして初めて検証できる。 動けば課題が露わになり、次の一手が見える。 逆に動かなければ“正論”はいつまでも空中を漂い、現場の温度感と接続しないままだ。

2. 洗い場で学んだ“信頼→ルール化”の順序
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大学2年、長野の山頂リゾートホテルで皿洗いのリゾートバイトをした。 そこは人もルールもカオス。 派遣が定着せず、言うことも人によってバラバラだった。 ある日現れたのが、元コンサルで父親の介護の合間に稼ぎに来たおっちゃん。 彼はまず全員の言い分と仕事手順を書き留め、誰と組むときはどのルールかを把握した。 反論はせず「一旦受け入れる」。 そして皿をさばきながら信頼残高を積み上げ、頃合いを見て少しずつ全員を自分のやりやすいルールに寄せていった。 気付けば皆がその手順で動き、新人には彼が真っ先に教えに行く。 ポイントは「正しい手順をいきなり押しつけない」「まず観察と実行で信用を得る」。 この順序を飛ばすと、たとえ合理的でも“通らない”。

3. 正論が通らない理由を因数分解する
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皿洗いバイトで目を覚まされた僕は、以後インターンでも職場でも「正しい≠通る」のロジックを分解して見てきた。 要素は大体三つに落ちる。

  1. 情報の非対称 現場には見えない制約がある。 コスト、タイミング、人間関係。 提案がそれを踏まえていないと“完璧”に見えても動かせない。
  2. 信頼残高不足 相手が「こいつの言うことなら試そう」と思えるまでの実績や姿勢が足りない。 特に一年目はここでつまずく。
  3. 刺し方のミスマッチ 相手が大事にする指標(リスク低減か売上向上か)にヒットしていない。 論点は合っているのに“刺さる角度”がずれると、とたんに通らなくなる。

4. 信頼を積む三つの行動指針
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僕が尊敬する上司や友人たちを観察し、自分でも実践してきたなかで効果があったのは次の三つだ。

4-1. 先に適応、あとで提案

まずは既存ルールに乗り、成果を出し、相手の言葉で会話できるようになる。 皿洗いのおっちゃんも、今の職場で毎日出社して皆と話しまくった元上司も、“まず合わせる”ことで信頼を稼いでいた。

4-2. 不満より先に「観察メモ」をつける

違和感や改善案は、いきなり口にせずメモに落とす。 誰が・いつ・なぜその手順を採るのかを観察し、全体像を掴んでから提案すると、相手も「事情を理解したうえでの提案だ」と受け止めやすい。

4-3. 役に立つ小さなハックを惜しまない

Excelの数式一つ、Slackのショートカット一つでもいい。 即効で皆が便利になる小ネタを差し込むと「次もアイツに聞こう」と信用ゲージが上がる。

5. ロールモデルを“多点取り”で集める
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僕は皿洗い現場のコンサルおっちゃん、山形で出会ったカフェ経営の元コンサル、今の会社で全社員と毎日会話していた先輩。世代も業界も違う人たちの背中を見てきた。 ロールモデルは一人に絞らなくていい。 むしろ多点取りした方が、自分の状況にフィットする視点を自在に切り替えられる。 大学生でも社会人1-2年目でも、キャンパスや社内だけに閉じこもらず、別業界や別世代に“異文化インターン”しに行く価値は大きい。

6. 「正しい」を「通す」ためのマインドセット
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  1. 10分で動く 正論は手を動かして初めて検証できる。
  2. Listen First, Then Lead 観察と傾聴で信頼を貯める。 その後でルールを整える。
  3. 価値を翻訳する 相手の指標に沿って提案をリフレーミングする。
  4. ロールモデルのハイブリッド化 多様な背中を見て、自分仕様の働き方を設計する。

おわりに──“通る”快感を味わおう
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大学生も新卒も、「自分は正しいのに…」と嘆く前に、まずは皿洗いよろしく手を動かし、観察し、信頼を積み上げよう。 そのプロセス自体がキャリアの筋肉になる。 正論が実際に通り、現場が変わった瞬間の快感は格別だ。 その一発を狙うより、日々の10分と小さな信頼を積み重ね、多点取りしたロールモデルから技を盗む。 その先に、君オリジナルの“通し方”が必ず見えてくる。

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