求人サイトを見ては、「今の会社のほうが、まだいいかぁ」と思って、また出社しています。
新卒でベトナムのオフショア開発の仕事を始めて、5年目になりました。 ベトナムで結婚もしましたし、日本に帰って働きたいとも思っていません。 今の生活を考えれば、現状維持がベターです。 それでも、心のどこかにはずっと不安があります。
IT業界、その中の受託開発、さらにその中のベトナムのオフショア開発。 自分のいる場所は、先細りしていく仕事の中でも、さらに厳しいところにあるんじゃないか。 そんなふうに感じながら働いています。
このままベトナムに残りたい自分は、これから何を価値として働いていくんでしょうか。
身につくスキルと、その先の市場価値#
最近、自分への戒めとして考えることがあります。 ここでどんなスキルが身につくのかと、そのスキルに今後どれだけお金が払われるのかは、分けて考えたい ということです。
今の仕事を続ければ、今の仕事はうまくなると思います。 顧客と開発者の間に立つことも、認識のずれを埋めることも、経験を重ねればできることは増えていきます。 ただ、それに慣れることと、自分の経済的な価値が上がることが、同じなのかはわかりません。
たとえば、翻訳を中心に仕事をしてきたITコミュニケーターの人たち。 あるいは、技術理解もあるけれど、日本語が話せることを主な強みにしてきたブリッジSEの人たち。 その強みに、これからも同じだけの価値がつくんでしょうか。 日本語学科に通い、IT企業を目指してきたベトナム人のことを考えると、これからどうするんだろうなぁと思います。
そして、そこで自分のほうにも目が戻ってきます。
間に立つ日本人としての自分#
私も、日本の顧客と、日本語が得意なベトナム人の間に立って仕事をしてきました。 認識のずれや、文化の違いから生まれる行き違いを埋める。 よくない進め方があれば指摘して、必要なところをサポートする。
仮説を立てて考えるのが苦手なメンバーに、フィードバックをして、改善してもらうこともあります。 その場で必要な仕事ではあるものの、これを続けているだけで、自分は今後も必要とされるのか。 最近は、そこにあまり自信が持てなくなりました。
日本語が話せるベトナム人の先行きを心配している自分も、間に立つ日本人であることに頼っている。 「自分にしか出せない価値は何か」と考えると、言葉が詰まります。
日本人が間に入っていれば安心、という理由で置いてもらえる席は、いつまであるんでしょうか。
日本人PMとベトナム人ブリッジの仕事が重なるとき#
ベトナムにある日系IT企業は、まだ当面は残っていくと思っています。 日本国内の開発需要の受け口としても、機能していくんじゃないでしょうか。
ただ、会社が残ることと、今ある役割がそのまま残ることは別です。 日本語が話せる日本人PMと、日本語が話せるベトナム人ブリッジが、同じ仕事を奪い合う日が来るんじゃないかと思っています。
企業の側から考えれば、ベトナムに置く日本人は最低限にして、ほかの日本人は日本で営業やプリセールスをしたほうがよい、という判断もありそうです。 現地の顧客対応や開発の管理をベトナム人が担えるなら、日本人を現地に置くコストには、それだけの理由が必要になります。
でも、私は日本で働きたくないから、ベトナムに残りたいと思っています。 会社にとっての配置の合理性と、自分が暮らしたい場所が、同じ方向を向くとは限りません。 だからこそ、今の仕事にしがみつきたくもなります。
削られるのはブリッジの役割なのか、安心要員としての日本人なのか。 結局は、責任を持って仕事をやり切れる人が残るんだろうと思います。 そこに国籍は関係ないはずです。
そう考えると、日本人であることを頼りに現地に居場所を持つのは、ますます難しくなりそうです。
残るために、仕事の方向を変えてみる#
市場価値があって、スキルも身につき、自分が好きで、興味を持てること。 そんな仕事を探したいと思っています。 ただ、自分にとってそれが何なのかは、まだ決まっていません。
それでも、今までの延長だけで考えず、思い切って仕事の方向を変える必要があると感じました。 最近は社内で、半分配置転換のようなことをしてもらい、ひとまず新しい役割で働いています。 それで将来の不安がなくなった、というところまでは来ていません。
ベトナムに残りたい日本人は、これからどんな付加価値を出していくんでしょうか。 私も毎日、その答えを探しています。
求人サイトを見て、今の職場にしがみつきながら、興味のあることを探して、試そうとしています。 まだここで働くことを選んでいますが、ここで何を身につけるかは、変えていきたいです。




